「消火器の機能点検」とは? 使用期限前でも“交換”した方が結果的にコスト削減につながる理由
「まだ使用期限が来ていないのに、なぜ消火器を交換しないといけないの?」――ビルや施設の管理をされている方から、よくいただくご質問です。
実はこの疑問の裏には、多くの方が知らない「消火器の機能点検(きのうてんけん)」という仕組みがあります。そして結論からお伝えすると、機能点検を続けるよりも、消火器そのものを交換した方が、費用も安く・手間も少なく済むケースがほとんどなのです。
この記事では、そもそも機能点検とは何か、なぜ点検より交換をおすすめするのかを、できるだけ分かりやすくご説明します。
そもそも「消火器の機能点検」とは?
消火器の点検には、大きく分けて2種類あります。
外観点検 … 見た目のサビ・変形・圧力計などを外側からチェックする点検
機能点検 … 消火器の本体を実際に開けて、中の部品まで作動するかを確認する点検
普段行っている点検の多くは「外観点検」ですが、加圧式の場合、製造から3年、蓄圧式の場合5年を過ぎると、この「機能点検」の対象になります。
機能点検では、本体を開けてホースやその先につながる管・部品に欠損や不具合がないかを確認し、問題がなければ元に戻します。一見シンプルですが、ここに大きな“落とし穴”があります。
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ここがポイント:蓄圧式(ちくあつしき)消火器の場合
現在主流の「蓄圧式」消火器は、本体そのものに常に圧力がかかっています。
点検のために本体を開けると圧力が抜けてしまい、そのままでは消火器として機能しなくなります。
そのため点検後に、専用の試験工具を使って再び圧力をかけ直す作業が必要になります。これは実質「消火器を1本作り直す」のに近い作業で、その分の手間賃・費用が大きくかかるのです。
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蓄圧式消火器は、なぜ「機能点検」より「交換」が安いのか
蓄圧式消火器の機能点検は、専用の工具を用いて本体を開け、部品を確認し、再び圧力をかけて戻す――という工程を踏むため、点検時に現場で作業することが難しく、一度消火器をお預かりする必要があります。
そのため1本あたりの点検費用は、新品へ交換する費用の約3倍近くになってしまうことも珍しくありません。
しかも、機能点検にはもう一つ見落としがちなコストがあります。
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機能点検中は「消火器が建物にない」状態に
機能点検のために消火器をお預かりしている間、その場所には消火器がなくなってしまいます。 万一に備えて「仮設の消火器」を用意する必要があり、その費用も別途かかります。 つまり、点検費用+仮設費用と、コストはどんどん膨らんでいきます。
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「使用期限が来ていないのにもったいない」と思われるかもしれませんが、点検を続ける方が結果的にコストがかかってしまいます。
蓄圧式消火器の“経過年数”ごとに必要な点検
蓄圧式消火器は、製造からの経過年数によって必要な点検が変わっていきます。特に6年目・10年目が大きな節目です。
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経過年数 |
必要な点検・対応 |
ポイント |
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〜5年 |
外観点検のみ |
見た目や圧力計をチェック |
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6年目〜 |
機能点検が始まる |
本体を開けて内部部品を確認。ここから費用が跳ね上がる |
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10年目以降 |
耐圧性能点検(水圧試験) 3年に1回の点検を継続 |
容器が圧力に耐えられるか検査。これ以降は3年に1回 |
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10年を超えると点検の回数が増え続けます
製造から10年目を過ぎると、容器が圧力に耐えられるかを確認する「耐圧性能点検(水圧試験)」が必要になります。 さらにそれ以降は3年に1回の点検が続くため、点検を3回受ける頃には、交換していた方がはるかに安くなります。
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なぜこんな仕組みになっているのか?(豆知識)
「機能点検が高いなら、そもそもなぜ必要なの?」と思われるかもしれません。これには消火器の歴史が関係しています。
かつて主流だった「加圧式」の消火器は、鉄製の容器がサビなどで劣化し、破裂・爆発事故が起きたことがありました。そこで、圧力が抜けると使用できなくなる仕組みの「蓄圧式」が登場し、安全性が高まりました。
この蓄圧式の普及にあわせて点検の基準も整えられてきましたが、実際に本体を開けて機能点検してみると、手間と費用が想像以上にかかることが分かってきた、という背景があります。安全のための仕組みである一方、点検コストが交換費用を上回ってしまう、というのが現在の実情なのです。
「法令じゃないなら、やらなくてもいいのでは?」
管理組合やオーナー様から、「これは法令で決まっているわけではないんですよね?」とご質問をいただくことがあります。
機能点検は、消防庁が定める「消火器の点検基準」の中で点検項目として定められているものです。「10年までに交換すればよい」という説明を受けたというお声もありますが、実際に消防へ確認すると「点検は行わなければならない」との回答になります。
また、機能点検を10年間行っていない場合には罰則の対象となる可能性もあります。「知らなかった」では済まされないため、正しく理解しておくことが大切です。
まとめ:使用期限前でも「交換」がおすすめな理由
・製造年より5年以上経過したものから「機能点検」の対象になり、本体を開ける点検が必要になる
・蓄圧式は機能点検後に圧力をかけ直す必要があり、点検費用が交換の約3倍になることも
・機能点検中は消火器が不在になり、仮設消火器の費用も別途かかる
・機能点検は点検基準で定められており、行わないと罰則の対象になる場合がある
つまり、「使用期限だけで判断せず、設備の状態に合わせた早めの交換が、トラブル防止やコスト削減につながります。
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