特定建築物定期調査

特定建築物定期調査とは

特定建築物定期調査

特定建築物として指定された不特定多数の人々が利用する建築物を対象に、利用者の安全を守ることを目的に行う法定点検です。
「敷地および地盤」「建築物の外部」「屋上および屋根」「建築物の内部」「避難施設・非常用進入口」といった現行法規等に基づき建築物の現況を調査し、その結果を特定行政庁へ報告します。

(建築基準法第12条)

調査の対象となる建物は、政令で一律に指定されています。また政令以外でも、地域の実情に応じて特定行政庁が調査対象を指定しています。
建築物の所有者・管理者は、必ず双方の対象および条件を確認するように注意しましょう。
検査は無資格ではできません「一級建築士」「二級建築士」の他に、法定講習を受けて、特定建築物調査員証の交付を受けた「特定建築物調査員」の資格を取得した担当者が行います。

対象となる施設

  • 劇場、映画館、演芸場
    ・3階以上もしくは地下の階にあり、用途に供する部分の床面積が100㎡を超える場合
    ・客席の床面積が200㎡を超える場合
    ・主階(舞台・客席等の出口がある階)が1階にない場合で、用途に供する部分の床面積が100㎡を超える場合
  • 観覧場、公会堂、集会場
    (ここでの観覧場は、屋外に観覧席がある場合を除外します。)
    ・3階以上もしくは地下の階にあり、用途に供する部分の床面積が100㎡を超える場合
    ・客席の床面積が200㎡以上の場合
  • 病院、有床診療所、旅館、ホテル、就寝用福祉施設
    ・3階以上もしくは地下の階にあり、用途に供する部分の床面積が100㎡を超える場合
    ・2階の床面積が300㎡以上の場合(※)
    ※病院、有床診療所は、2階の部分に患者の収容施設があるものに限定される
  • 体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツの練習場
    (いずれの建物も、学校に付属する場合は除外されます。)
    ・3階以上の階にあり、用途に供する部分の床面積が100㎡を超える場合
    ・床面積が2,000㎡以上の場合
  • 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェ、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗
    ・3階以上もしくは地下の階にあり、用途に供する部分の床面積が100㎡を超える場合
    ・2階の床面積が500㎡以上の場合
    ・床面積が3,000㎡以上の場合

特定建築物定期調査の種類

敷地・地盤

敷地内の地盤沈下による不陸状態(水平でなく凸凹がある)や敷地内の排水状況は適切かを調査するとともに、災害時を想定した避難通路等の確保ができているかなどを調査します。

【検査内容】
・地盤沈下による不陸、傾斜等の状況
・敷地内の雨水の排水状況
・敷地内通路の有効幅員の確認、障害物の有無
・ブロック塀等の耐震対策、劣化および損傷の状況
・擁壁の劣化および損傷の状況

建築物の外部

建物の基礎や外壁、窓サッシ、外壁に設置されている広告板等について、主に落下につながるような経年劣化や損傷箇所がないかを目視、テストハンマー等による打診を行い調査します。

【検査内容】
・基礎の沈下等の状況
・サッシの劣化状況、はめ殺し窓のガラス固定の状況
・外装仕上げ材の劣化状況
・外壁開口部の防火対策の状況
・広告板等の劣化状況

屋上および屋根

屋上面や屋上回り、屋根に不具合や漏水の原因となる劣化・損傷がないか目視、テストハンマー等による打診を行い調査します。

【検査内容】
・屋上面(防水層)の劣化・損傷状況
・モルタル面の劣化・損傷状況(ひび割れ等が見られないか)
・パラペットの劣化・損傷の状況
・排水溝、ドレーンの劣化状況
・屋根の防火対策及び屋根ふき材の劣化状況
・機器や工作物(広告塔)、支持部分の劣化状況

建築物の内部

建築物の内部が、建築基準法にそっているかを目視と建築図面両方から調査します。また、防火区画や壁、床、天井などの劣化および損傷の状況と維持保全の状況、アスベスト対策などを調査します。

【検査内容】
・防火区画(面積・堅穴・異種用途・条例による区画)の状況
・常閉防火扉の作動の状況
・壁・床(木造、レンガ造り、コンクリートブロック造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄筋鉄骨コンクリート造など)躯体部分に著しい劣化や損傷・腐食が無いかの状況
・天井・特定天井の劣化および損傷の状況
・居室の採光、換気の状況
・アスベストの使用有無、劣化状況

避難施設・非常用進入口

通路・廊下・出入口・屋上広場・避難バルコニー・階段・排煙設備・非常用進入口等について、災害時に安全に避難できるか、避難の支障となる物品等が放置されていないかを調査します。

【検査内容】
・通路、廊下、階段、出入口の幅員確保の状況、物品放置の有無
・屋上広場、避難バルコニーの確保の状況
・屋上広場の手すりや柵などの設置・劣化状況
・排煙設備(防煙区画・自然排煙口)の損傷・劣化・維持保全の状況
・排煙設備の作動状況
・非常用の進入口等の維持保全の状況
・非常用の照明装置の作動状況
・非常用エレベーターの設置状況(乗降ロビーやその窓が規定通りの構造になっているか)

その他

特殊な構造の部材や免震装置、避雷針などの避雷設備、煙突等の劣化および損傷状況と維持保全の状況、地下街等について目視によって調査します。

【検査内容】
・膜構造建築物の部材等の劣化状況
・免震装置の劣化状況
・避雷針、避雷導線等の劣化・損傷状況
・煙突本体および建築物との接合部の状況
・煙突の損傷・劣化状況

特定建築物定期調査の頻度

敷地・地盤 3年に1回
建築物の外部 3年に1回
屋上および屋根 3年に1回
建築物の内部 3年に1回
避難施設・非常用進入口 3年に1回
その他 3年に1回